町内会が保有する土地を民事信託により保全・トラブル対策をした事例
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お客様のご状況
町内会の土地を管理をするにあたり、町内会を運営するメンバーの高齢化や相続発生時のリスクを踏まえ、なにか良い対策がないかとのご相談をいただきました。
町内会には法人格がありませんので、法律上の登記では、その土地は町内会長の名義になっていました。この状況で、町内会長が認知症になったり、相続が発生したりすると、様々な問題が発生します。
まず、町内会長が認知症になってしまった場合、その土地は「凍結」状態になってしまいます。新たに土地の活用をしたい、売買したいなどの手続きが必要な時に、名義人である町内会長が認知症など意思能力がない状態だと、成年後見人を付けないとこれらの手続きができません。
また、相続が発生すると、相続登記(土地の名義変更)が必要になります。法律上、この土地は、町内会長の法定相続人(配偶者・子など)が相続することになりますので、町内会の土地が町内会とは無関係の人たちに移動する、といったことになりかねません。
またこういったトラブルを防ぐために、前もって町内会長から別の候補者に土地の名義を変更するにしても、手間や費用がかかります。
通常、不動産の譲渡や売買による移動が起こった際には「譲渡所得税」という税金がかかります。今回のケースでは、この譲渡所得税がかなり高額になっていました。
また、名義変更をした際には「登録免許税」、「司法書士法への手続き報酬」といった様々な費用が必要になります。
そこで、これらのリスク・手間・コストをなんとか解消できないか、とのことでご相談をいただきました。
司法書士によるサポート
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今回のケースは、
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① 民事信託町内会の土地を管理するための一般社団法人を設立し、
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② 一般社団法人に対して、町内会名義の土地を民事信託する
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という対策をご提案しました。
- 民事信託のスキームは下記のとおりです。
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委託者:町内会(代表者は個人名義)
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受託者:一般社団法人
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受益者:町内会(権利能力なき社団)
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信託財産:土地のみ(評価額:数千万)
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一般社団法人と民事信託を組み合わせるメリットとして、
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土地が一般社団法人という法人の名義になりますので、相続などが発生したときのトラブルを回避できます。
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また、先の譲渡所得税といった土地の名義の移動にかかる税金もかかりません。
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町内会運営メンバーの入れ替わりについては、一般社団法人の役員を変えていくことで、対応が可能です。
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サポートの結果
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民事信託を活用することで、町内会の土地に関する認知症・相続リスクを未然に対策することができました。
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また、土地の管理者の移動にかかる税金などのコストを大幅に圧縮することができました。
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民事信託はあまり知られていない法律の制度ですが、このようなケースではとても有効です。
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人生100年時代、いつ起こるかわからない認知症トラブルの対策として、ご家族の財産凍結対策、アパートやマンションの管理オーナーの認知症トラブル対応、相続対策などに活用するケースが増えています。
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民事信託を活用した認知症・相続対策が当てはまりそうな方は、どうぞお気軽にご相談におこし下さい。
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