遺言を書いておくべきだったケース・遺産分割調停のサポート事例。
ご相談者様の背景とご家族の状況
状況:
今回ご相談にいらしたのは、以前にお父様の遺産整理をサポートさせていただいたB様です。
今年に入ってB様のお祖母様が他界され、その相続手続きが必要となったため再びご相談におこしになりました。お祖母様は長年にわたりB様の母親が面倒を見ていたため、感情的な側面も含めて複雑な状況がありました。
相続関係・ご家族の状況:
今回の相続人は3名で構成されています。具体的には以下の通りです。
- 相談者(B様): お祖母様の孫
- B様の妹: 同じくお祖母様の孫
- 叔父: お祖母様の子であり、名古屋在住
B様のお母さまは、お祖母様とは血縁関係がないため相続人には該当しません。
本来は、B様のお父様が相続人になりますが、先に亡くなっていることから「代襲相続」というかたちで、お孫さんであるB様と妹様が相続人になっています。
B様と妹さんは東海市在住で、叔父様とは物理的な距離がありますが、これまで家族関係は比較的良好でした。ただし、相続となると話は別で、特に叔父様が相続財産の分配について強く意見を持っており、感情的な対立が生じていました。
財産状況
お祖母様の相続財産は、預貯金のみであり、相続税の申告は不要でした。しかし、相続税がかからないからといって手続きが簡単であるわけではありません。預貯金の分配についても、家族間での調整が必要です。
相続手続きに関するご希望
B様のご希望としては、お祖母様の面倒を長年見てきた母親に対して、お金が行くようにしたいというものでした。しかし、母親は相続人ではないため、そのままでは遺産を受け取ることができません。一方で、叔父様はこれに対して強く反対し、感情的な対立が深まっていました。
この状況を解決するために、B様は特別寄与という制度を利用することを提案しました。特別寄与とは、相続人ではない者が被相続人の介護や看護をしていた場合、その労務に対して報酬として財産の分配を受けられる制度です。この制度を利用することで、B様の母親が適正な報酬を受け取ることが可能になります。
遺産分割調停の申立て
特別寄与の申立てを行うためには、期限内に手続きを行う必要があります。B様の場合、幸いにもギリギリ3ヶ月以内に調停の申立てを行うことができました。
この手続きを経て、B様の母親が適切な形で報酬を受け取ることができるようになりました。
相続トラブルになりやすい事項と対策
相続手続きにおいては、以下のようなトラブルがよく発生します。
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長く面倒を見てきたのに・・・という感情: 家族の一員が長年にわたり被相続人の面倒を見てきた場合、その貢献度に対する評価がトラブルの元となることがあります。感情的な側面が強いため、適切なコミュニケーションと法的な手続きを通じて解決することが重要です。
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生前のお金の動き: 被相続人の生前に行われた金銭の動きが不透明であった場合、相続人間での不信感が生じやすくなります。このため、生前に借用書や贈与の記録をしっかりと残しておくことが重要です。
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遺言の重要性: 遺言がない場合、相続手続きは複雑化しやすく、家族間のトラブルの原因となります。本件では、お祖母様が認知症を患っていたため、遺言を作成することができませんでした。遺言を残すことの重要性を改めて認識する必要があります。
相続手続きは感情的にも法律的にも複雑で、多くのトラブルが発生しやすいものです。遺言の作成や生前の財産の整理など、早めの対策が非常に重要です。ご相談がありましたら、ぜひお気軽にご連絡ください。専門家が親身にサポートいたします。